たまには真面目なトピックを。
私は5年ほど前にアメリカ東海岸に1年間留学し、大学院を卒業しています。
これだけを伝えると、英語はもうペラペラだと思い込む方が多いですが、実際には映画やドラマを見ていて聞き取れないフレーズはたくさんあり、言いたいことが英語でうまく言えず辛い思いをすることなど日常的です。
また、留学中はマーケティングやファイナンスを英語で学んでいたので、ビジネス用語はよく分かっているのですが、英語で小説を読んだり、正しい発音を学んだり、といったことはできていませんでした。クラスでビリの英語力でしたので、とにかく宿題をこなすことで精一杯だったという思い出です。
そんな中、フランスに住むことになり、5月に4日間ほど缶詰めになってフランス語を「アルファベットの読み方」から学んでみたところ、色々な気づきがありました。
日本人の先生から文法を、フランス人の先生から発音・会話を学んだのですが、それぞれがフランスやフランス語に関する面白い情報を教えてくれました。
特に発音は、4-5人しか生徒のいないクラスでひたすら指導を受けるので、自分の何がどうおかしいのかがよく分かりました。
英語でやらかしてしまった失敗、つまり、受験英語ばかりを詰め込んで、全然話せないまま20代後半になり、大学院で大恥をかいた教訓から、フランス語はなんとか実用性重視で学んでいきたいと思っていましたが、英語もこんな風に最初から学んでいたら、と残念な気持ちになりました。
「言葉は伝わればいい」とよく言いますが、やはり正しい発音で美しい言葉を話したい。また、その国の歴史やホットなトピックスも知ったうえで学びたい。そんなことを強く感じ、「英語で」何かを学ぶのではなく、「英語で」「英語を」もう一度学びたいと思ったのです。
そして、夫の英語特訓に合わせて、自分も英語の授業をバークレーで受けることを決めました。
現在とっているのは、English as a Second Language(通称ESL)といういわゆる英語の授業と、Pronunciation(発音)の授業です。
ESLは2時間半×週4日、発音は2時間半×週2日で、合計6週間のプログラムです。
クラスはどちらも15名前後で、参加者は大学生中心なので年齢はだいぶ差がついてしまっていますが、英語の話になれば年齢は忘れて同じように取り組みます。
授業の詳細は後日また掲載しますが、先生たちがベテランなおかげで、何十年も前から勉強に来ている日本人のダメな発音、苦手な表現をしっかりと把握してくれており、適宜アドバイスをもらえるのが嬉しいです。
RとLの発音の違い、THの発音、単語と単語の切れ目をぶちっと切らずにLiaison(つなげる)させて発音すること等、まだまだマスターできていない多くの指摘事項を残り3週間でしっかり改善させて帰らなくては。
そして、何よりも一番よかったこと。アメリカの歴史、バークレーやサンフランシスコで過去に起こった重大な事件、そして現在の文化や価値観などにつき、先生たちが毎日語ってくれます。
昔バークレーで学生運動が盛んだったこと。黒人のみならず、女性や白人が発言の自由を求めて戦ったこと。ヒッピーは過去のものではなく、今もたくさん残っていること。マリファナを吸って犬を連れた若いホームレスがたくさんいること。お金持ちの若者をヤッピーと呼んでいたが、今はシリコンバレーのIT企業に勤める、エココンシャスで密かに高級品を愛用するヤングスターがトレンドであること。
どれも私はここに来るまで知らなかったことばかりです。東海岸に一年いても誰も教えてくれなかったことが、今や自分の身近な話題となりました。
昨日の宿題は、キング牧師のあの有名なワシントンでのスピーチのあと、アメリカでは法律や人口構成においてどんな変化があり、いまだに達成されていないことは何かをまとめること。
こういったことは、学んだからと言ってすぐに仕事等で役立つわけではありませんが、アメリカを知るうえで大変重要なトピックであり、受験勉強と仕事ばかりやってきた自分の脳味噌には全然蓄積されてこなかった内容です。今後フランスへ行きヨーロッパのことを学ぶ際に新たな比較の視点をもたらしてくれることと思います。
英語で英語を学ぶこと。とても久しぶりでしたが、その内容に満足するとともに、まさに文化的な生活が始まったんだなあと喜びを感じてます。(そして何よりも、こんな自由なことができる境遇に感謝しないといけませんね。)